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OpenAIの料金表は1モデルに2つの単価。272Kトークン超で入力2倍・出力1.5倍

公式料金ページは単価をShort contextとLong contextに分けています。入力272Kトークンを超えるとリクエスト全体が割増になります。境目を越える5つの経路と、見積書で確認する4点を整理します。

公開: 2026.10.20 / 更新: 2026.10.20

AI 開発の見積書には、たいてい「API 利用料」という 1 行がある。モデル名と 100 万トークンあたりの単価が書かれ、想定件数を掛けて月額が出ている。この 1 行では運用費が読めない場合がある。

同じモデルに、単価が 2 つ用意されているからである。

2026 年 10 月 21 日時点の OpenAI の公式料金ページを見ると、各モデルの料金表は「Short context」と「Long context」に分かれている。境目は 1 リクエストの入力が 272K(27 万 2 千)トークン。これを超えると、入力が 2 倍・出力が 1.5 倍の単価に切り替わる。しかも超えた分だけではなく、そのリクエスト全体がその単価で計算される。

受け皿に封筒を重ねた郵便用の秤。針が指す目盛りの線だけアンバーで、右には行の太さが違う2枚の料金札が立っている

公表されている内容

境目の定義

公式料金ページには次のように書かれている。

Short context: ≤272K input tokens. Long context: >272K input tokens.

モデルページ側には、272K を超えるプロンプトは入力が 2 倍・出力が 1.5 倍の単価でリクエスト全体が課金されると記載されている。段階的に加算されるのではなく、1 トークン超えた瞬間に全体の単価が変わる構造である。

2 つの単価(100 万トークンあたり・米ドル)

同ページの Standard 階層の値を並べる。左が通常(272K 以下)、右が長コンテキスト(272K 超)である。

モデル 入力 入力(272K 超) 出力 出力(272K 超) キャッシュ読み取り 同(272K 超)
GPT-5.6 Sol 4.00 8.00 20.00 30.00 0.40 0.80
GPT-5.6 Terra 2.00 4.00 12.00 18.00 0.20 0.40
GPT-5.6 Luna 0.20 0.40 1.20 1.80 0.02 0.04
GPT-6 Sol 2.00 4.00 10.00 15.00 0.20 0.40
GPT-6 Luna 0.10 0.20 0.50 0.75 0.01 0.02
GPT-6 Astra 10.00 20.00 50.00 75.00 1.00 2.00
GPT-6.1 Sol 2.00 4.00 10.00 15.00 0.10 0.20

倍率はどのモデルでも同じで、入力・キャッシュ読み取りが 2 倍、出力が 1.5 倍である。

販促価格の期限の書き方

同ページには、GPT-5.6 Sol について次の注記がある。

GPT-5.6 Sol's promotional pricing is available at least through November 21, 2026.

**「at least through(少なくとも 11 月 21 日まで)」**という表現である。11 月 21 日に上がると書いてあるわけではなく、それ以降の価格が公表されていない。終了後の単価は料金ページに記載が無い。

なお同じページの Batch(非同期でまとめて処理する枠)は、通常の単価のほぼ半額で並んでいる。GPT-5.6 Sol は入力 2.00 / 出力 10.00、GPT-6 Sol は入力 1.00 / 出力 5.00 である。

発注者・企業への影響

ここからは見立てである。特定のモデルの優劣ではなく、見積書の読み方として何が変わるかに絞る。

1. 月額の試算は 2 通り出させる

単価が 2 本ある以上、月額も 2 本出る。「1 回あたり平均 3 万トークン」のような平均値だけで月額を出した見積書は、272K を超えるリクエストが混ざった場合に外れる。

試算 中身
通常帯のみ 全リクエストが 272K 以下に収まる前提
長コンテキストが混ざる 全体の何 % が 272K を超えるかを置き、その分だけ 2 倍・1.5 倍で計算する

トークン課金とは。入力・出力・キャッシュの単価と、請求が膨らむ6か所で挙げた「膨らむ 6 か所」に、7 か所目として帯の切り替わりを足すとよい。

2. 272K を超えるのは「長い文書」ではないことが多い

27 万トークンは日本語で概算 20 万字前後にあたる。1 件の契約書や 1 本のマニュアルを渡しただけでは、まず届かない。実務で超えるのは別の経路である。

超える経路 何が積み上がるか
会話履歴 やり取りが続くほど、毎回の入力に過去全部が乗る
ツール定義 エージェントに渡す道具の説明文。道具が増えるほど固定で乗る
検索結果の取り込み RAG の取得件数を増やすと、1 回の入力が一気に伸びる
ファイルの添付 表計算・PDF をそのまま渡すと、見た目より桁が大きい
自動の再試行 失敗したやり取りを足して再投入すると、2 回目以降が膨らむ

つまり**「長い資料を扱う案件」ではなく「対話が続く案件・道具が多いエージェント案件」で境目を越えると考えられる。コンテキスト長とは。一度に渡せる情報量の制約で書いた上限は「入らなくなる」という制約だったが、価格の帯は入るけれど高くなる**という別の制約である。

3. 設計で帯をまたがないようにできる

ここが発注側に効く点である。帯をまたぐかどうかは設計で決まる。見積依頼の段階で指定できる。

  • 会話履歴を全部送らない: 直近 N 往復だけ送る、または要約して渡す
  • 取得件数に上限を置く: RAG で渡す文書の件数・文字数に上限を設ける(チャンク分割とは。RAGの精度と費用を決める4つの設計と、見積書で見る5点の設計がそのまま効く)
  • 道具を分割する: すべての道具を 1 つのエージェントに持たせず、用途別に分ける
  • 入力トークン数を計測して記録する: 帯を越えた回数を見られるようにしておく

4 番目が抜けやすい。越えた回数が分からないと、請求が増えた原因を後から特定できない。

4. 「少なくとも〜まで」は見積書の有効期限と噛み合わない

販促価格の期限が「少なくとも 11 月 21 日まで」と書かれている場合、発注側は終了後の単価を知らないまま契約することになる。これは提示が不誠実という話ではなく、価格表の書き方がそうなっているという事実である。

AI開発の見積書の前提条件と有効期限の読み方。概算と確定の差を埋める8項目で挙げた前提条件のうち、API 単価の改定時の扱いを 1 行書いておくのが実務的である。

API の公表単価が改定された場合、月額の API 実費は改定後の単価で精算する。改定時は改定の 1 か月前までに通知する。

Gemini Flashの単価が2027年1月に2倍へ。運用費はどの価格で見積もるかとGemini 4 Argonが一般提供。12月1日に単価2倍、運用費はどちらで見積もるかでは、期限と改定後の単価が明示されていた。今回は改定後が未定という形で、確認すべき点が少し違う。未定の場合に効くのは、金額の比較ではなく契約文の 1 行である。

5. 見積書で確認する 4 点

  1. 帯の明示: 想定している単価が 272K 以下の帯か、超える帯か。両方混ざる前提か
  2. 超える割合の根拠: 「超えません」と書く場合、会話履歴とツール定義を含めた計算を示させる
  3. バッチに回せる処理: 即時応答が不要な処理が含まれていれば、半額の枠に寄せられないか
  4. 単価改定時の扱い: 実費精算か、固定単価か。固定の場合、改定分を誰が持つか

3 番目は帯の話より効く場合がある。夜間にまとめて流せる処理なら、帯をまたいでも通常帯の半額の枠で収まる余地がある。

6. モデルの grade を下げる前に、帯を確認する

費用を下げる相談で最初に出るのは「安いモデルに替える」である。表を見ると、GPT-6 Luna の通常帯(入力 0.10)と GPT-6 Astra の長コンテキスト帯(入力 20.00)では 200 倍の開きがある。一方、同じ Astra の通常帯と長コンテキスト帯の差は 2 倍にすぎない。

つまりモデル選定の影響のほうが桁が大きい。帯の最適化は、モデル選定と設計を詰めたうえでの詰めの作業と考えるのが順序だと考えられる。AIの精度目標を5ポイント下げると費用はどこが減るかで整理した考え方と同じで、先に効くほうから触る。

まとめ

  • OpenAI の公式料金ページでは、各モデルの単価が **Short context(入力 272K 以下)**と **Long context(272K 超)**に分かれている
  • 272K を超えると入力・キャッシュ読み取りが 2 倍、出力が 1.5 倍になり、リクエスト全体がその単価で計算される
  • 境目を越える原因は長い資料ではなく、会話履歴・ツール定義・検索結果の取り込み・添付・再試行の積み上がりであることが多い
  • GPT-5.6 Sol の販促価格は「少なくとも 2026 年 11 月 21 日まで」と書かれ、終了後の単価は公表されていない
  • 見積書で確認するのは帯の明示・超える割合の根拠・バッチに回せる処理・単価改定時の扱いの 4 点である

無料で相見積もり・相談の案件票では、想定する利用回数と 1 回あたりの入力量を揃えて書く。同じ帯で計算されていない見積書は、月額だけ並べても比較にならない。

参考・出典

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