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中国がAI23技術を輸出管理案に。API利用は対象外、自社運用は対象になる4点

中国の商務部・科学技術部が2026年10月16日に輸出管理目録の改定案を公表。AI23項目を含む40項目を追加し、禁止14・制限26。API・SaaS・オープンソースは対象外です。見積書で確認する点を整理します。

公開: 2026.10.17 / 更新: 2026.10.17

中国製のオープンウェイトモデルを自社サーバーで動かす提案は、ここ 1 年で急に増えた。API 料金を払わずに済み、データを外へ出さずに済む、という説明とともに来る。

2026 年 10 月 16 日、中国の商務部と科学技術部が「中国禁止輸出・輸出制限技術目録」の改定案を公表した。AI 23 項目を含む 40 項目を追加する案で、公開意見募集が始まっている。

注目すべきは、規制の範囲にはっきりした線引きが置かれている点である。API やアプリ、SaaS での提供は対象外とされ、制限対象のモデルを海外でローカル展開する場合は対象とされた。発注の実務では、この線のどちら側に自社の構成があるかで話が変わる。

通関カウンターを渡る木箱と、封印された箱・許可証の札に分かれる行き先

公表されている内容

国内報道(ビジネス+IT、時事通信、ロイター)で一致している範囲を整理する。原文は中国語の公告であり、以下は報道を通じた内容である。

項目 内容
公表日 2026 年 10 月 16 日
所管 商務部(MOFCOM)・科学技術部(MOST)
形式 「中国禁止輸出・輸出制限技術目録」の改定案。公開意見募集中
追加項目 計 40 項目(AI 23、太陽光発電 12、バイオ医薬 5)
内訳 輸出禁止 14 項目 / 輸出制限 26 項目
意見募集期限 2026 年 11 月 15 日

何が禁止・制限の対象なのか

報道によれば、AI 分野の 23 項目は大規模モデル・エージェント・計算クラスタ・情報処理に関する技術を含む。

  • 禁止の例: 悪意あるコードを自律的に生成・変異させる AI 技術
  • 制限の例: AI による脆弱性の発見(許可制になる)

制限対象になった技術は、輸出に許可が必要になる。目録に載っていない技術は自由輸出のままである。商務部の説明では、改定は通常の技術貿易管理であり特定の国・地域を対象としたものではなく、大部分の AI 技術は引き続き自由に輸出できるとされている。

対象外とされた提供形態

ここが実務にいちばん効く。報道によれば、大規模モデルについて次の形態は技術輸出管理の対象外とされている。

形態 扱い
API 提供 対象外
アプリ・Web での提供 対象外
SaaS 対象外
端末上での軽量実行 対象外
オープンソース・論文で公開済みの技術 対象外
制限対象モデルの海外でのローカル展開 対象(ただし海外の自社クラウドなど低リスクの場合は自動許可の便宜措置がありうる)

あわせて、公表日から暫定措置が施行された。対象技術を輸出する前に商務部の業務システムへ届け出る義務で、所有権の移転・海外でのライセンス供与・海外主体への所有や支配の変更が対象になる。すでに進行中で未完了の輸出も含むとされている。

発注者・企業への影響

ここからは見立てである。中国の国や企業を一括りに評価する話ではなく、自社の構成がどの扱いになるかを確かめる話に絞る。

1. 「API で使う」構成は、今回の管理対象ではない

まず落ち着いて読んでよい部分である。中国企業のモデルを API 経由で呼ぶ構成は、技術輸出管理の対象外とされている。したがって今回の改定案を理由に API 構成が止まる、という筋ではないと考えられる。

ただし、API 構成には今回とは別の確認事項が残る。これは中国に限らず、国外のサービスを使うとき共通である。

  • データの保存先(どの国のサーバーに送信され、どこに保管されるか)
  • 入力データを学習に使うかどうか(利用規約・オプトアウトの有無)
  • 準拠法と紛争解決地(契約書の末尾に書かれている)
  • 自社が負う個人情報の越境移転の説明義務

この 4 点は AI開発で外部APIに送ってよいデータの決め方。4区分と見積依頼に書く5行 の区分に当てはめれば整理できる。モデルの国籍ではなく、送るデータの区分で決めるのが実務的である。

2. 「自社サーバーで動かす」提案は、入手経路の確認が要る

今回の案で対象になるのは、制限類に入る大規模モデルを海外でローカル展開する場合である。自社サーバー・自社クラウドで重みを動かす構成は、こちら側の話になりうる。

一方で、オープンソースと論文で公開済みの技術は対象外とも書かれている。公開重みのモデルを Hugging Face から取得して動かす構成は、この除外に当たる可能性が高い。つまり**「中国製だから自社運用が不可」という単純な結論にはならない**と考えられる。

確認すべきなのは規制の前に、ライセンスである。公開されている中国製モデルには、商用利用を制限する独自ライセンス(研究用途に限るものなど)が付いているものがある。見積書では次の 3 つを書き分けてもらうと判断できる。

  1. モデルの入手経路(商用 API / 公開重みのダウンロード / 商用ライセンス契約)
  2. そのモデルのライセンス名と、商用利用・再配布・派生物の可否
  3. ライセンスが変更された場合に載せ替える先の候補

AI APIの利用と自社構築。どちらが安く、どこが分かれ目かで整理したとおり、自社運用はコストだけでなく責任範囲も引き受ける選択である。ライセンスと規制の確認は、その責任範囲に含まれる。

3. 本番稼働が 2027 年にかかる案件は、前提を契約に書く

意見募集は 11 月 15 日までで、その後に正式な改定へ進む見通しと報じられている。内容が確定していない段階である。

PoC から本番までが数か月かかる案件では、AI開発の納期はどう決まるか。短縮できる4工程と、急ぐと費用が跳ねる3工程のとおり、稼働が半年先になることは珍しくない。その場合に効くのは、見積書の前提条件の書き方である。

使用するモデルの提供条件・ライセンス・各国の規制上の扱いが変更された場合、代替モデルへの載せ替え費用の負担をどちらが持つか。

これをAI開発の見積書の前提条件と有効期限の読み方。概算と確定の差を埋める8項目の「前提条件」に 1 行入れておく。確定していない規制を理由に発注を止めるより、変わったときの手当てを先に決めるほうが進む。

4. モデルを 1 つに固定しない設計に、いくら払うか

今年は OpenAI のモデル停止、Google の単価改定、そして今回の輸出管理案と、前提が外から動かされる出来事が続いている。

ここから引ける結論は 1 つである。

モデルを差し替えられる構成は、保険料を払って買うものになった。

ただし保険料は無料ではない。抽象化レイヤーを入れれば工数が乗り、評価データセットを保守すれば定常の人手がかかる。AIの精度をどう評価するか。発注者が知るべき指標と落とし穴の評価セットを一度作っておくと、載せ替えの判断が「感覚」から「数字」になる。

費用の目安としては、評価セットの整備で初期に数十万円、載せ替え 1 回あたりで同程度を見ておくと、保守の見積書を読む基準になる。実際の金額は対象件数と判定の種類で変わるため、AI開発の保守費用の相場。契約に含めるべき範囲と突き合わせて確認したい。

まとめ

  • 2026 年 10 月 16 日、中国の商務部・科学技術部が輸出管理目録の改定案を公表した。追加は 40 項目(AI 23・太陽光 12・バイオ医薬 5)で、禁止 14・制限 26。意見募集は 11 月 15 日まで
  • 大規模モデルの API 提供・アプリ / Web 提供・SaaS・端末上の軽量実行・オープンソースと論文公開済みの技術は対象外とされた
  • 制限類モデルの海外でのローカル展開は対象。公表日から、輸出前の届出が暫定措置として施行された
  • 発注の実務で先に確認するのは規制よりライセンスとデータの保存先である。見積書ではモデルの入手経路・ライセンス名・代替候補の 3 点を書き分けてもらう
  • 内容は確定していない。止めるより、前提条件に「提供条件が変わった場合の扱い」を 1 行入れるほうが現実的と考えられる

無料で相見積もり・相談の案件票では、扱うデータの区分とモデルの運用場所(API / 自社運用)を選択式で揃えている。同じ構成を前提にしないと、API 構成と自社運用の見積額は比べても意味がない。

参考・出典

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