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10月5日にAPIの課金開始とプレビュー廃止が重なる。見積書で確認する3点

OpenAIのGPT-Rosalindは2026年10月5日から課金開始、Googleのプレビュー旧版は同日廃止。一方で値上げ中止の例もあります。「現在無料」を前提にした見積もりの読み方をまとめました。

公開: 2026.09.25 / 更新: 2026.09.25

提案書に「現在は無料で提供されている機能です」「プレビュー版を利用します」と書かれていることがある。コストを抑えた構成に見えるので、そのまま通りやすい。

しかし無料もプレビューも、価格ではなく状態である。状態には終わりが来る。2026 年 10 月 5 日には、大手 2 社の提供条件が同じ日に切り替わる。

卓上カレンダーと、砂が落ちきる寸前の砂時計が2つ

公表されている事実

1. OpenAI の GPT-Rosalind は 10 月 5 日から課金が始まる

OpenAI の API チェンジログによれば、GPT-Rosalind は 2026 年 9 月 8 日にリリースされた。標準価格は入力 100 万トークンあたり $5、キャッシュ入力 $0.50、出力 $25 と書かれている。そのうえで "Billing begins on October 5, 2026."(課金は 2026 年 10 月 5 日に始まる)と明記されている。

つまり 9 月 8 日から 10 月 5 日までのおよそ 4 週間は、公開されているが請求は立たない期間ということになる。なおこのモデルは、承認を受けた内部の生命科学研究向けに、限定的なアクセスプログラムを通じて提供されるものである。用途は広くない。

2. Google の Antigravity プレビュー旧版は 10 月 5 日に廃止される

Gemini API のリリースノートによれば、2026 年 9 月 17 日に antigravity-preview-09-2026 が公開され、従来の antigravity-preview-05-2026 を置き換えた。そして旧版 antigravity-preview-05-2026 の廃止日は 2026 年 10 月 5 日と記載されている。

版の名前からわかるとおり、旧版は 2026 年 5 月のものである。公開から廃止まで、およそ 5 か月ということになる。

3. 一方で、期限付きの価格が据え置きになった例もある

Anthropic の料金ページには、Claude Sonnet 5 についての注記がある。入力 100 万トークンあたり $2、出力 $10 という価格は、当初「2026 年 8 月 31 日までの導入価格」として発表されていた。しかし現在これが標準価格になり、2026 年 9 月 1 日に予定されていた $3 / $15 への引き上げは実施されないと書かれている。

論点 1. 「無料」は価格ではなく、開始前の状態である

3 つを並べると、期限付きの前提は 3 通りに転ぶことがわかる。

転び方 例 発注側への効き方
課金が始まる GPT-Rosalind(10/5 から課金) 運用費が 0 円から立ち上がる
廃止される antigravity-preview-05-2026(10/5 廃止) 改修工数が発生する
据え置きが確定する Claude Sonnet 5(値上げ中止) 何も起きない

重要なのは、このどれになるかを発注側も開発会社も決められないという点である。提供元の判断で決まる。だから「たぶん無料のままだと思います」という説明には意味がなく、確認すべきは見通しではなく、変わったときにどうするかが決めてあるかのほうになる。

導入価格が期限どおり切れる例としては、Gemini Flashの単価が2027年1月に2倍へを先に扱った。今回の Sonnet 5 はその逆で、期限が来る前に据え置きが確定した形である。上がることも、上がらないことも、どちらも普通に起きる。

論点 2. プレビュー版の寿命は、保守契約より短い

Antigravity のプレビューは、5 月版が 9 月版に置き換えられ、10 月 5 日に廃止される。約 5 か月である。

ここに、AI 開発の見積もりでよくずれが出る。開発期間が 4 か月、その後の保守契約が 1 年、という案件は珍しくない。プレビュー版の部品を使って作った場合、保守期間の途中で土台が入れ替わることになる。

実際にどう効くかは、置き換えの性質による。後継版が同じ呼び出し方をそのまま受けるなら、指定する版の名前を書き換えるだけで済むこともある。逆に動作や出力の形が変われば、動作確認と改修が要る。どちらになるかは廃止の告知が出るまでわからない、というのが発注側にとっての実態である。

だから見積書に「プレビュー版」「ベータ」「実験的機能」という語が出てきたら、それ自体を止める必要はない。プレビュー版は安く速く作れることが多く、PoC の段階ではむしろ合理的である。止めるべきなのは、プレビュー版であることが見積書に書かれていない場合のほうである。

論点 3. 期限は納品後に来る

3 つ目の論点は、期限の来る時期である。

課金開始も廃止も、発注側が検収を終えて請求書を払ったあとに来る。開発期間中は無料で動いていて、問題なく検収を通り、3 か月後に請求が立ち上がる、という順番になりやすい。

このとき費用を誰が持つかは、契約書の保守条項の書き方で決まる。よくあるのは次の 3 つの形である。

  1. 実費を発注側が負担する(API 利用料は発注側の契約・発注側の支払い)
  2. 保守費に含む(開発会社が API を契約し、月額に織り込む)
  3. 何も書かれていない

3 番目がいちばん多い。そして 3 番目のとき、請求が立ち上がってから「これは想定外なので追加でいただきます」という話になりやすい。見積書で別途になりやすい項目でも整理したが、別途になるものは金額より先に「誰の負担か」を決めておくほうが揉めない。

発注者・企業への影響

ここからは見立てである。

1 つ目。「現在無料」を根拠にした安い見積もりは、比較の土俵に乗らないと考えられる。 3 社の見積もりを並べたとき、1 社だけが無料の機能を前提に月額を組んでいれば、その社が安く見えるのは当然である。しかしそれは実力差ではなく、同じ条件で比べていないというだけである。相見積もりを取る意味は、こういう前提の差を見えるようにすることにある。

2 つ目。保守契約の見直し時期を、契約期間ではなく提供元の告知に合わせる必要が出てくる。 1 年契約を 1 年後に見直すという運用では、期間の途中で来る廃止や課金開始に対応できない。四半期ごとに、使っている API の提供条件の変更告知を確認するという作業を、保守の内容として見積書に書いてもらうのが現実的だと考えられる。

3 つ目。プレビュー版を避ける方向には行かないほうがよい。 新しい機能はまずプレビューで出る。プレビューを一律で禁止すると、安く作れる手段を自分で捨てることになる。分けるべきは新旧ではなく、**試す部分(プレビューでよい)と、業務が止まると困る部分(安定版に限る)**である。この線引きは要件定義のときに決められる。

見積書で確認する 3 点

  • 使う API・サービスのうち、プレビュー版・ベータ版・無料提供のものがどれかが書かれているか
  • それぞれの提供条件が変わったときに、誰が費用と工数を持つかが契約書にあるか
  • 保守の作業内容に、提供条件の変更告知を定期的に確認することが含まれているか

この 3 点は、条件をそろえた案件票で複数社に投げれば、回答の差としてそのまま出てくる。無料の相見積もりでは、利用する外部サービスと保守範囲を案件票の項目として持っている。

まとめ

10 月 5 日には、片方で課金が始まり、もう片方でプレビュー版が廃止される。一方で、値上げが予定されていた価格が据え置きに変わった例もある。

提供条件は上にも下にも動く。動くこと自体は避けられない。 見積書で確認できるのは、動いたときに誰が何を負担するかが決めてあるか、それだけである。

参考・出典

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