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OpenAIがGPT-6 Sol・Lunaを公開。API単価が半額でも総額が下がらない理由

2026年9月22日、OpenAIがGPT-6 SolとLunaを公開しAPI価格を50%引き下げました。標準・Batch・Fast modeで単価は400倍開きます。値下げが見積総額に効く案件と効かない案件を試算で分けます。

公開: 2026.09.24 / 更新: 2026.09.24

API の単価が下がったというニュースは、発注側にとって「うれしい話」として流れてくる。ただし実務で効くかどうかは、案件のトークン量と、見積書にどう書かれているかで決まる。単価が半分になっても、見積もりの総額がほとんど動かない案件のほうが多い。

2026 年 9 月 22 日、OpenAI が GPT-6 SolGPT-6 Luna を公開した。同社は「GPT-5.6 のプロモーション価格と比べて API 価格を 50% 引き下げた」と説明している。先に出ていた GPT-6 Astra と合わせて、上・中・下の 3 階層がそろった形になる。

3段の棚に並ぶ計量おもりと値札

何が変わったか

OpenAI の API 料金表(developers.openai.com)に載っている標準価格は次のとおりである。単位は 100 万トークンあたりのドル。

モデル 入力 キャッシュ入力 出力
gpt-6-astra $10.00 $1.00 $50.00
gpt-6-sol $2.00 $0.20 $10.00
gpt-6-luna $0.10 $0.01 $0.50
gpt-5.6-sol(従来) $4.00 $0.40 $20.00
gpt-5.6-terra(従来) $2.00 $0.20 $12.00
gpt-5.6-luna(従来) $0.20 $0.02 $1.20

Sol は入力・出力とも従来の半額、Luna は入力が半額、出力は $1.20 から $0.50 へ下がっている。

提供先は API のほか、Codex と ChatGPT(Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu)。無料および Go の利用者はデスクトップアプリで Luna を使える、と発表されている。

「半額」の外側にある 3 つの単価

見積もりに使うときに落とし穴になるのは、同じモデルでも提供形態で単価が 4 倍違う点である。料金表には標準価格のほかに 3 つの区分がある。

区分 単価 性質
Batch 標準の 半額 まとめて投げて後で受け取る。即時応答しない
Flex 標準の 半額 低優先度で処理する
Fast mode 標準の 2 倍 応答を速くする

gpt-6-luna で並べると、バッチの入力 $0.05 から Fast mode の $0.20 まで 4 倍の幅がある。さらに Astra の Fast mode は入力 $20.00 なので、同じ「GPT-6 を使います」という見積書でも、単価の取りうる範囲は 400 倍開く

もうひとつ注意したいのが Fast mode の水準である。gpt-6-luna を Fast mode で使うと入力 $0.20 / 出力 $1.00 となり、従来の gpt-5.6-luna の標準価格($0.20 / $1.20)とほぼ並ぶ。値下げ後の新モデルを使っていても、設定次第で値下げ前と同じ単価になるということである。

そしてもう 1 点。OpenAI 自身が「GPT-5.6 のプロモーション価格と比べて」と書いている。つまり比較元は期間限定の価格だったことになる。導入時の単価が恒久的なものかどうかは、モデルが変わるたびに確認し直す必要がある。この論点は Gemini Flashの単価が2027年1月に2倍へ でも扱った。

発注者・企業への影響

ここからは見立てになる。

まず、値下げが見積総額に効く案件は限られると考えられる。社内文書の要約を月に入力 5 億トークン・出力 5,000 万トークン処理する規模で計算してみる。

  • gpt-5.6-luna 標準価格: 入力 $100 + 出力 $60 = 月 $160
  • gpt-6-luna 標準価格: 入力 $50 + 出力 $25 = 月 $75

差は月 $85、年に約 $1,000 である。開発費が数百万円の案件では、この差は見積書のどの行も動かさない。API 単価は運用費の一部であって、開発費そのものではないからだ。要件定義・データ整備・実装・精度評価・テストにかかる工数は、モデルが安くなっても減らない。

逆に言えば、効く案件ははっきりしている。処理量がこの 100 倍あるケース、つまり全社の問い合わせログを毎日まとめて分類する、大量の帳票を通す、といった案件である。ここでは年 10 万ドル規模の差になるので、5 年総額の比較が変わる。自社がどちらに当たるかは、月あたりの処理件数と 1 件あたりのトークン量を掛ければ概算できる。AIシステムの運用費 に試算の手順をまとめてある。

次に、値下げ分が誰の手元に残るかは契約形態で決まる。API 実費を発注側が直接払う従量精算なら、下がった分はそのまま発注側の利益になる。一方、月額固定の保守に「API 利用料込み」で入っている場合、単価が下がってもベンダーへの支払いは変わらない。契約時にこの扱いを決めておく話は AI運用費は定額保守か従量精算か に整理した。

最後に、乗り換えの費用は無料ではない。モデルを差し替えると、プロンプトの調整と精度の再評価が必要になる。評価データが残っていない案件では、ここで数十万円規模の工数が発生する。モデル名を見積書に書いても前提は固定できないという話は DeepSeekが9月14日の提供終了を撤回 でも書いた。

見積書で確認する 3 点

  1. モデル名だけでなく、提供区分(標準 / Batch / Flex / Fast mode)まで書かれているか。 書かれていなければ単価は決まらない
  2. API 実費は誰が払うのか。 実費精算か、保守費込みか。込みの場合、単価が下がったときの扱いはどうなるか
  3. モデルを差し替えるときの費用はどこに入るのか。 精度の再評価を含めて、保守の範囲か別途か

同じ条件で複数社に聞けば、この 3 点の書き方の差がそのまま各社の考え方の差として出てくる。無料の相見積もり の案件票では、処理量と運用体制を項目として書き込めるようにしてある。

参考・出典

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