AI開発コネクト
AI開発発注ガイド

AI開発の相談はNDA前にどこまで話せるか。出す情報と伏せる情報の線引き

秘密保持契約を結ぶ前に話せる範囲を区分する方法。出してよい4区分と伏せる3区分、社名を伏せた照会との違い、案件票の「詳細はNDA締結後に開示」を使ってよい項目とだめな項目、NDA前でも必ず出す5項目を整理します。

公開: 2026.09.27 / 更新: 2026.09.27

AI 開発の相談で最初に詰まるのが、ここである。社内の事情を話さないと見積もりが出ない。でも、話した相手がまだ発注先とは限らない。

相見積もりだとこの矛盾が濃くなる。3 社に声をかけるなら、3 社と秘密保持契約(NDA)を結んでから話すのか。結ぶとすれば、その手続きに何週間かかるのか。実務では、NDA を結ぶ前に話せる範囲を先に決めておくほうが早く進む。

手前と奥を仕切る衝立と、封を開けた書類・封蝋で閉じた封筒

前提:NDA は「話してよくなる契約」ではない

よくある誤解から外しておく。NDA を結んだからといって、何でも話してよくなるわけではない。NDA は受け取った側の扱い方を縛る契約であって、出す側の判断を代わりにしてくれるものではない。

そして一般に、秘密として保護されるのは秘密として管理しているものである。誰にでも話している内容や、すでに公開されている内容は、NDA を結んでも秘密にはならない。だから順番はこうなる。

  1. 出す情報を区分する(どれが秘密で、どれがそうでないか)
  2. 秘密に当たるものを出す段階を遅らせる
  3. 出すときは秘密と分かる形で出す

NDA は 3 番目の道具である。1 番と 2 番は、契約書ではなく自社で決めることになる。

NDA 前に出してよい情報/伏せる情報

見積もりを出すために本当に必要な情報は、意外と少ない。区分すると次のようになる。

区分 例 NDA 前
公開情報 業種、おおよその従業員規模、公開済みのサービス内容 出してよい
業務の形 「請求書を月 3,000 件処理している」「問い合わせが 1 日 200 件」など件数・頻度・工程の形 出してよい(固有名詞を外す)
課題と目的 何に困っていて、どうなれば成功か 出してよい
技術的な制約 外部 API の可否、オンプレ要否、既存システムの種類 出してよい
自社固有の中身 独自の判定ルール、価格表、取引先名、未公開の事業計画 伏せる
実データ 顧客データ、契約書の実物、個人情報を含むファイル 伏せる(サンプルも実物は出さない)
法令・契約で縛られるもの 委託元から預かったデータ、守秘義務のある第三者情報 出さない(NDA を結んでも扱いは別問題)

上 4 つだけで、見積もりの精度はかなりのところまで出る。実際、AI開発の相見積もりで条件を揃える12項目で挙げた項目のほとんどは、固有名詞を外しても書けるものである。

逆に、下 3 つを最初に渡しても見積もりは大して変わらない。判定ルールの中身が分からなくても、「ルールが何本あるか」「例外がどれくらいあるか」が分かれば工数は見える。

匿名で照会するか、社名を開示するか

もう 1 つの選択が、自社の名前を出すかどうかである。これは NDA とは別の軸で、相手が誰か分かる前の段階で使える手段になる。

社名を伏せて照会 社名を開示
相手に渡る情報 業種・規模と案件票の内容 会社名を含む一式
連絡 窓口を経由する 各社から直接届く
向く場面 競合に知られたくない、社内で未公表、まず相場を知りたい すでに取引がある、実績を踏まえた提案がほしい、急いでいる
弱点 相手が自社の事情を織り込んだ提案をしにくい 断った会社にも検討の事実が残る

当サイトの案件票でも、この 2 つを選べるようにしてある。社名を伏せて照会するを選ぶと、候補の会社に渡るのは業種・規模と案件票の内容だけになる。社名を出すのは、候補が絞れてからでも遅くない。

注意点を 1 つ。匿名でも、条件の組み合わせで特定できてしまうことはある。業種が狭く、規模が特徴的で、扱う業務が珍しい場合だ。その場合は件数を丸める、地域を書かないなど、粒度を落としておく。

案件票の「詳細は NDA 締結後に開示」の使いどころ

案件票には、セキュリティ要件の選択肢として**「詳細は NDA 締結後に開示」**がある。これは便利だが、使う場所を間違えると見積もりが割れる。

使ってよいのは、中身は伏せるが、存在と量は伝わる項目である。

項目 書き方
判定ルールの中身 「ルールは 40 本程度。詳細は NDA 締結後に開示」
連携先システム 「基幹システム 1 本と連携。製品名は NDA 締結後に開示」
扱うデータの中身 「個人情報を含む。項目の詳細は NDA 締結後に開示」

逆に、次の項目でこれを使うと見積もりが比較できなくなる。

  • 対象業務そのもの(何をやらせたいのか)
  • 件数・頻度の規模感
  • 精度の要求水準(人が確認してから使うのか、自動で処理するのか)
  • 予算と納期の目安

この 4 つを伏せると、各社は自社の想定で埋めるしかない。結果、同じ案件に対して 300 万円と 1,200 万円が並ぶ。差の原因が要件ではなく想像の違いになってしまい、比べる意味がなくなる。見積もりが割れる構造は相見積もりを比較する方法で分解している。

NDA を結ぶタイミングは 3 段階で考える

全社と最初に結ぶ必要はない。段階を分けると手続きが軽くなる。

段階 相手 渡すもの NDA
1. 概算 声をかけた全社 案件票(固有名詞なし) 不要
2. 提案 絞った 2〜3 社 既存システムの構成、データ項目の一覧 締結する
3. 詳細見積もり 最終候補 サンプルデータ、判定ルールの実物 締結済み+目的外利用の制限を確認

案件票では NDA について「不要(まず概算を聞きたい)」「必要(締結してから詳細を共有)」を選べる。1 の段階では前者で十分なことが多い。ここで全社と契約手続きを始めると、それだけで 2〜3 週間が消える。

AI 開発の NDA で追加して見る 3 条項

一般的な NDA の条項に加えて、AI 開発では次の 3 つを確認しておきたい。定型のひな形には入っていないことがある。

  1. 提供データを学習・改善に使わないこと。 開発会社が使う外部 AI サービス側の設定も含めて、どう担保するかを書く
  2. 外部への送信範囲。 受け取ったデータをどの API に送るのか。送らないのか。ここはAIシステムのセキュリティ設計の論点と直結する
  3. 再委託先への義務の承継。 開発会社が外部の会社や個人に出す場合、同じ義務が及ぶか

契約全体で見るべき点はAI開発の契約チェックリストにまとめた。なお、条項の文言そのものは自社の法務や弁護士の確認を通すことを前提にしてほしい。ここで書いているのはどこを見るかであって、文案ではない。

NDA 前でも必ず出す 5 項目

最後に、伏せすぎて見積もりが取れなくなるのを避けるための最低ラインを挙げる。この 5 つは、固有名詞を外せば NDA 前に出せる。

  1. 対象業務(何を、誰が、今どうやっているか)
  2. 規模(件数・頻度・利用人数)
  3. 精度の要求水準(人が確認するのか、自動で処理するのか)
  4. 技術的な制約(外部 API の可否、オンプレ要否、連携の有無)
  5. 予算と納期の目安(幅でよい)

この 5 つが揃っていれば、各社は同じ前提で見積もれる。逆にどれかが欠けると、そこを各社が別々に想像して金額が割れる。

条件をそろえた案件票を作って複数社に渡すところは無料の相見積もりから進められる。社名を伏せるか出すか、NDA を先に結ぶかどうかも、その中で選べるようにしてある。

まとめ

NDA 前に話せる範囲は、思っているより広い。固有名詞と実データを外せば、見積もりに必要な情報はほぼ出せる。

やることは 3 つ。出す情報を区分すること。伏せるものは「存在と量」だけ伝えること。そして、業務・規模・精度・制約・予算の 5 項目は伏せないこと。 この形にしておけば、NDA の手続きを待たずに相見積もりを始められる。

AI開発の見積もりを、同じ条件で比べる。

条件を整理した 1 枚の案件票で複数のAI開発会社に依頼。初期費用だけでなく、データ整備・API 費・精度検証・保守・権利まで同じ列で比較できます。

無料で相見積もりを始める →
無料で相見積もり30秒で費用診断