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TikTokは営業活動の“前工程”を担えるか?BtoBにおける動画接点戦略の実践法

TikTokといえば、BtoCやD2Cなど「消費者向けのSNSマーケティングツール」というイメージが根強くあります。

しかし、2024年以降、BtoB企業の間でTikTokを「営業補助の起点」として使う動きが加速しています。
従来のインサイドセールスにTikTokを掛け合わせることで、「見込み顧客とのファーストタッチ」や「商談前の信頼形成」を効率的に行う企業が増えているのです。

本記事では、TikTokを営業支援の視点から活用するための考え方、運用方法、実例、効果測定のポイントなどを体系的に解説します。
これまでの広報・ブランディング活用とは一線を画す、“営業現場起点のTikTok活用”に興味のあるマーケター・営業マネージャーにとって、実践的なヒントとなるはずです。

BtoB営業でなぜTikTokが注目されているのか?

「うちの業界にTikTokは関係ない」
「エンタメ系のSNSで法人営業は無理でしょ」
そう思っていた企業でも、2024年から考え方を改め始めています。

背景には以下のような変化があります。

  1. 情報収集の主戦場が“GoogleからSNS”へ移行

  2. 若手キーパーソン(Z世代管理職・起業家)がTikTok視聴層にシフト

  3. 縦型短尺動画の影響力が営業資料よりも大きくなっている

  4. 人柄・文化・雰囲気を伝えるニーズの増加(信頼形成が前提)

つまり、TikTokは「営業資料では伝えきれない空気感」を届けるのに適したメディアなのです。

実際に営業担当が顔出し・声出しで動画を投稿することで、「この人から話を聞いてみたい」「意外と面白そうな会社だな」というファーストインプレッションを作れるようになってきました。

BtoB企業がTikTokで投稿している内容のパターン

TikTokでBtoB企業が配信しているコンテンツは、いわゆる広告や紹介動画とは異なり、“共感型・教育型”のフォーマットが中心です。

以下は特に成果を出している動画構成の代表例です。

1. 営業あるある・商談の裏側をネタ化する

  • 「商談前にありがちな5つの確認事項」

  • 「提案資料でやりがちな失敗」

  • 「うちの業界、ここだけの話します」

こうした内容はBtoBの決裁者や若手担当者から高い共感を得やすく、「わかる!」「これは他社も同じ」といったコメントが集まる傾向にあります。

2. よくある質問・誤解への回答

  • 「なぜうちは安く見えないのか?」

  • 「中小企業にも導入できるって本当ですか?」

  • 「自社開発ではなく、外注した理由を語ります」

このような“営業現場でよく出る質問”を動画で先回りして回答するスタイルは、見込み顧客との初期接触時に役立つだけでなく、営業活動そのものの効率化にもつながります

3. 社員や営業担当者の「1日の流れ」密着

  • 「スタートアップの営業ってどんな1日?」

  • 「展示会準備の裏側を全部見せます」

  • 「インサイドセールスが何してるか解説してみた」

こうした密着・Vlog系のコンテンツは、人物像や会社文化を自然に伝えることができ、“人”起点で興味を持ってもらえる仕組みになります。

TikTok動画が営業に与える影響とは?

TikTokの動画が営業活動に与える影響は、以下のように段階ごとに整理できます。

ステップ1:指名検索・サイト流入の増加

TikTokでの露出により、企業名やサービス名で検索される機会が増加。
特に「会社名+TikTok」「担当者名+会社」での検索は、初回商談前の信頼形成にも貢献します。

ステップ2:商談時のハードルが下がる

「動画で見たことがある」という状態で商談に入れるため、営業側も説明がスムーズになり、アイスブレイクの時間が不要になるケースが多く見られます

実際に「TikTokで見ました」と言われた営業担当者は、「商談が雑談から始まる感覚になる」と話しています。

ステップ3:営業チーム以外にも拡散される

動画は意思決定者だけでなく、その周辺の社員(現場担当・若手スタッフなど)にも自然に拡散され、社内検討のスピードが上がるという副次効果も報告されています。

実際の企業事例:TikTokで営業成果を出しているBtoB企業

2024年〜2025年にかけて、TikTok経由で問い合わせ・商談・採用までの成果につながったBtoB企業の実例が増えています。

【事例1:物流システム会社】

若手社員が営業活動の裏話を投稿。「倉庫見学で一番ウケる話」や「トラック業界の新常識」などがバズり、TikTok経由でのフォーム問い合わせが前年比180%に。

【事例2:ITツール開発ベンチャー】

インサイドセールスチームが「営業資料の裏側」「よくある導入相談」の再現ネタを投稿。動画を見たユーザーからの“逆提案依頼”が増え、動画経由で獲得したリードのCV率は通常の1.6倍。

【事例3:製造業の中小企業】

技術営業担当が「加工現場で驚かれるポイント5選」などを発信し、展示会前にTikTokで動画配信。来場者が「あの動画の会社ですよね」と認識しており、ブース来訪率が大幅向上。

実践ポイント:営業部門とTikTok運用をつなげるには?

営業支援にTikTokを活用するには、マーケティング部門だけでなく営業チームとの連携がカギです。

以下のような体制が理想です。

  • マーケ:アカウント設計、全体のトーン管理、投稿設計

  • 営業:ネタ提供、出演協力、商談での動画活用フィードバック

  • 制作:CapCutなどでの編集サポート、テンプレ管理

また、以下のようなテンプレートを事前に用意しておくと、営業メンバーの協力も得やすくなります。

  • 「よくある質問」フォーマット:質問→答え→事例→CTA

  • 「現場あるある」フォーマット:シーン→共感→裏話

  • 「提案ストーリー」フォーマット:課題→提案→結果→導入後

ポイントは、“営業が話したいこと”ではなく、“顧客が知りたいこと”を動画にすることです。

まとめ:TikTokは「商談の前」に入れる動画営業マン

TikTokはエンタメだけの場ではなく、BtoB企業が「人」「文化」「価値観」を見せるための実用ツールへと進化しています。

名刺交換より前に「この人知ってる」と言われる状態を作ることは、
これからの営業活動における“下地づくり”として、極めて大きな意味を持ちます。

次のアクションとして、以下を実践してみてください。

  • 営業チームと共同で「TikTokで発信できる営業ネタ」を10本出し合う

  • 商談でよく出る質問・誤解を動画にして事前送付

  • 顔出しNGでも「ナレーション型」「事例再現型」で対応してみる

TikTokは、もはや単なるSNSではありません。
“信頼形成と空気感の先行接点”として、営業の武器になるフェーズに突入しています。

動画の中に「この人なら話してみたい」と思わせる何かを込められるかどうか。
そこに、2025年のBtoBマーケティングの勝敗がかかっているのかもしれません。

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